第82回  意外! スウェーデンのコロナ行政 (北欧理事会)




 私は長年、北欧5カ国は文化的に常に一枚岩なのだ、と思い込んできた。ところが、である。

新型コロナウイルスのパンデミックが始まった3月中ごろ、ノルウェーの友人から「自宅でテレワークです。ケアサービスが中止になったので、母の世話もしています」とのメールが来た。

その数日後、スウェーデンの友人から、食事を楽しむ人たちでいっぱいのカフェテラス…自宅隔離どこ吹く風の写真が送られてきた。

さて1カ月後の10万人あたりの死者だが、アイスランド2・9人、デンマーク8・7人、ノルウェー4人、フィンランド4・4人に対して、スウェーデンはなんと28・3人! 

スウェーデン政府が言うには、新型コロナウイルス抑制には「ワクチン開発」か「集団免疫(国民の6~7割がウイルスに感染して抗体を持つ)」か、道は2つに1つで、スウェーデンは後者を選んだのだ。

理論的指導者テグネル医師は、「国民の自主性に任せて、病気かなと思ったら休むようにと提案しています。スウェーデンは、病欠手当が補償される歴史が長いので、すぐ休む傾向がある。それに、子どもたちには通学が、大人たちにはレイオフされないことが、心身の健康維持にとって非常に大事なので、だから、私たちはロックダウンをとらないのです」

ポスターは1988年、ノルウェーのオスロで行なわれた壮大な女性の祭「ノルディック・フォーラム」のもの。北欧の女性たちが、男女平等社会づくりへの情報交換をし、女性差別撤廃をいかに実現させるかを話し合った。講演会・討論会・女性だけの交響楽・ジャズ・ロック・演劇・映画…数万人が集結した。1994年はフィンランドのトゥルクで、2014年はスウェーデンのマルメで開催された。

予算も含めてノルディック・フォーラムを下支えするのは、北欧理事会だ。北欧5カ国3地域が閣僚レベルの協議会を開き、政策のすりあわせをする国際機関で設立は1952年。ここから北欧モデルといわれる共通政策が生まれてきた。

さて、世界の流れに逆らって自宅隔離を拒否したスウェーデン・モデルが、何年後かに北欧モデルになるのかどうか。国民の命のかかった政策だけに、行く末が気になる。

2020年5月10・25日

 

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