第79回 2020年2月10日 34歳女性が首相に選ばれるわけ(フィンランド)


 昨年12月、フィンランドにサンナ・マリン首相が誕生した。この国では女性首相は3人目だが、話題になったのはその若さ! なんと34歳。世界最若年の首相だった。

新首相の生い立ちは複雑だ。母親は、アルコール依存症の夫と離婚。同性パートナーと“レインボー・ファミリー”を築き、前夫との子サンナを育てた。一家は貧しくて、大卒は彼女だけだった。

北欧の政治家の多くは、高校や大学内にある政党の青年部に入って政治活動を始める。サンナも20代初めに社会民主党青年部で頭角を現した。2008年に、市議選の候補者リストに載った。当選はしなかったが代理議員になった。

代理議員とは、政党中心の比例代表制ならではの制度。議員が育児、病気、教育研修などで休暇を取った時、ただちに議員として職務を代行する、いわばピンチヒッター議員だ。

2012年に市議会議員に初当選した時、サンナはまだ大学院生だった。2014年に社会民主党の第2副代表となり、翌年には国会議員選挙に当選。2017年に党第1副代表、2019年、国会議員に再選。連立政権のアンティ・リンネ首相(社会民主党代表)が辞任したため、同党第1副代表だった彼女が首相に選出された。

このポスターは2015年にヘルシンキにある「フィンランド女性会議」から贈られたもので、大勢の男女が発する言葉をアートに仕立てている。

言葉の一部を紹介すると「母親が国を指揮したら、世界はよくなる」「今日も明日もフェミニズムとシスターフッドを」「自由とシスターフッドこそ社会の基盤」「フェミニズムは男にこそ薦めたい」…。

同会議は男女平等をめざす女性運動体として1911年に創設され、女性参政権100周年にあたる2006年から、「人口の51%は女なのだから、国会の101人を女にしよう」というキャンペーンを続けてきた。今日のフィンランドは、国会議員200人のうち女性が94人、47%だから、ほぼ目標達成だ。

それにしても、裕福とはいえない家庭に育った若い女性が、一国のかじ取り役になれたのはなぜかと考えてみると、それは、比例代表制選挙の国だからである。一方、世襲の男性議員が10年近くも首相の座に居座り続けるわがニッポンは、小選挙区制の国。私は、比例代表制の国に強くひかれる。

 

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