第74回 2019年9月10日 「もっと女性議員を」から「もっと女性市長を」へ(ノルウェー)


 ノルウェーの統一地方選は4年に1度、9月の第1か第2月曜と法で決まっている。今年は9月9日だ。今回、市議会(日本のような市区町村の区別はない)に立候補したのは5万4254人。うち女性は2万3258人で、43%にのぼる。

ノルウェーでは国政選挙も地方選挙も比例代表制だ。投票日の1年も前に、それぞれの選挙区の政党は「候補者リスト」の案を作りはじめる。会議を経て決定された「リスト」は、選挙のある年の3月に、選挙管理委員会に届けられる。

その頃には「リスト」がメディアにのり、誰がどの党から出るかは周知の事実となる。選挙期間もなく、候補者個人のポスターも選挙事務所も、鬱陶しい宣伝カーもない。あるのは、各政党の候補者が一堂に会しての政策論争だ。

首長も地方選で決まる。選挙後、最多数を取った政党の「リスト」のトップに載っている人が通常、市長となる。だから「リスト」の1番に誰を載せるかをめぐって党内でもめることもある。

この地方選に向けて、60年代から女性議員を増やす超党派の運動「女性キャンペーン」が行なわれてきた。

今日のポスターは、2003年のものだ。よく見ると、女性の顔は、小さな×で描かれている。顔の下にある赤地の白抜き文字は「女性に×印を!」。黒字は「市長の85%、市議会の66%は男性です。でも、あなたはそれを投票所で変えられます」

ノルウェーの有権者は、支持する政党の「リスト」(=投票用紙)を1枚選んで、それを投票箱に入れる。さらに「リスト」の順番が気に入らない場合、候補者名の横の空欄に×印をつけると、その候補者の票が加算されて順位が上がるようになっている。

16年前、女性候補に×印をつけて「女性議員を増やそう」としたのだ(後に方式がちょっと変わったが、ここでは省く)。

こうして女性議員が増えてきた昨今、運動は「もっと女性の市長を」にシフトしてきた。1年半前の2018年3月、総務大臣はこう力説した。

「2015年の統一選で、全市議の約40%は女性となりましたが、428市長のうち女性は123人、わずか28%です。政党は『リスト』の1番にもっと女性を載せるように」

ひるがえって日本。市長どころか、地方議会の5つに1つが女性議員の誰もいない「女性ゼロ議会」である(朝日デジタル2018年1118日、統一地方選前の調査)。

 

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