第68回  女たちよ あなたの権利を行使しなさい(フランス)


3月8日は国際女性デー。女性が女性であることを喜び、女性差別の撤廃を誓う日だ。

このポスターは、1991年の国際女性デーに向けてフランス社会党がつくった。線描の顔は、ジャクソン・ポロックの描く抽象画のようだ。

今では国連も祝う国際女性デーだが、かつては社会主義国の行事とされて、資本主義国は敬遠した。しかし、首相付女性権利担当大臣のイヴェット・ルーディは、女性の権利をたたえる日を、国をあげて大々的に祝うべきだとミッテラン大統領に提案した。1982年のことだ。

「社会党の女性政治家の鑑」と仰がれる、そのイヴェット・ルーディ元大臣に私がインタビューしたのは、2003年夏だった。

日本では衆院選が終わったばかりで、480議席中女性は35人、7%という惨状だった。同じ頃、フランスは「公選職への女性と男性の平等なアクセスを促進する法律」を制定して世界を驚かせた。政党に候補者を男女半々とするよう義務づける法律で、いわゆる「パリテ選挙法」と呼ばれる。「候補者を男女同数にしない政党は政党助成金が減額される」といった、具体的罰則まで盛り込まれている。

イヴェット・ルーディに、闘いかたを聞いた。

彼女のモットーは、「女性の権利を確実にするには女性が議会に出ること」。「だから、大勢の女性を議会に送るため、うんざりするほど長い間、クオータ制の運動をしてきた」と、苦笑いしながら話してくれた。

彼女は1982年、地方選の候補者リストについて、男も女も全候補者の75%を越えてはならないという、いわゆるクオータ法を成立させた。ところが、そのクオータ法が憲法院にかけられ「違憲」に。以来、クオータ制導入運動は何年間も足踏み状態を味わった。

しかし、彼女はあきらめなかった。「パリテのための10人宣言」を1996年、週刊誌『レクスプレス』のフロントページに載せた。「政党は、男女同数議会をめざすためにクオータ制を導入すべきだ。それには憲法改正が必要である」。こう宣言したのだ。

それを機に白熱した論戦が展開され、同年の総選挙で社会党は、国会議員候補30%を女性にして大躍進。首相は、男女同数議会をつくるための憲法改正を公約し、1999年、パリテ(男女同数)をうたった憲法を実現させた。「パリテ選挙法」が成立したのはその翌年だ。

彼女は私に言った。

「議論する、書く、訴える…とにかく粘り強く続けること。そして、将来は、小選挙区制という女性に不利な選挙制度の改正も進めなくてはいけませんね」

 2019年3月10日

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