第45回  自由の国のおしゃれな改革(フランス)


 フランス国旗の青は自由、白は平等、赤は友愛を表す。あまり知られていないことだが、平等を示す白の部分は、青・赤にくらべて面積がやや小さい。

この白い部分を窓の隙間に見立てて、女性がその隙間から

「フランスは自由の国だが、女性が参政権を獲得して半世紀たったというのに、まだ平等の国ではない!」

と叫んでいる。このデザインは、1994年、女性参政権誕生50年を祝って作られた。

ポスターから20年以上たった今日、フランスの国会議員(下院)に占める女性は25・8%で、世界63位。日本はたったの9・3%で世界163位だから、それに比べればいい線なのだが、フランス女性には屈辱の数字。彼女たちは手をこまねいてはいなかった。

政界を男女半々にするため、まず2000年、憲法に「パリテParité」という言葉を盛り込ませた。パリテとは「男女同数」を意味する。

次に政界への男女平等アクセスを推進する「パリテ法」を定めた。これによって比例代表制をとる欧州議会(EUの準立法府)、州議会、人口1000人以上の市議会は、候補者名簿が北欧のように男女が交互に並ぶことになった。欧州議会はもともと女性が多かったのだが、加えて、州議会や市議会まで限りなくパリテに近づいた。

一方、小選挙区制の国会と県議会はパリテがうまく働かなかった。

そこで県議会(女14%)の選挙は、突飛というべきかおしゃれというべきか、選挙法を改正して「男女ペアで立候補しなければならない」とした(2013年)。フランス語でビノームbinômesという。ダンスを踊るときのように、男性(女性)はペアを組む女性(男性)を探して立候補する。ポスターも、恋人か夫婦のように男女がペアで並ぶ。ペアを組む相手は、同政党より異なる政党や政治団体であることが奨励されている。当選後は、独立して別々の議員活動をする。

小選挙区で最高得票をとった1組の「男女ペア候補」が当選となる。2015年に選挙があった。結果、フランス全県会議員4108人中、女性2054、男性2054。みごとなパリテである。

残るは国会だ。パリテ国会を誕生させるどんな秘策が飛び出すのか。ホントに楽しみだ。

2017年4月10日

 

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