第20回 女の手で世界をつかもう!(ノウハウ会議)
女性差別の情報は、男たちの手でかき消されたり矮小化されたりするのが普通だ。
それに疑問を持った女性運動家、司書、ジャーナリスト、研究者、先住民の権利運動家、情報センター職員たちが、国境を越えて叫んだ。
「女性をとりまく現実をよく見えるようにしよう」
「情報は力。世界中からアクセス可能な女性の情報サイトをつくろう」
この国際的運動は、「ノウハウ会議」と名づけられた。
萌芽は1995年9月4日に北京で開かれた国連世界女性会議にあった。世界中から5万人が集まった。
私も地方紙と女性紙から特派員資格を得て参加した。
カップラーメンをすすりながら、寝る間も惜しんでパソコンをたたいた。全国フェミニスト議員連盟としてワークショップも企画運営した。女性議員の少ない日本の現状をどうしたら変えられるか、英語、日本語ゴチャゴチャにして話し合った。
最終日、「北京行動綱領」が採択された。女性差別撤廃のための最優先課題実行を、世界中の政府にせまった。その一つが「女性とメディア」だった。メディアにおける男女平等の推進と情報格差の撤廃がうたわれた。
おりしも、情報が瞬時に国境を超えるIT時代の到来。
1998年、オランダのアムステルダムで、その第1回ノウハウ会議が開かれた。今回のポスター「女性の情報はどこにある?」は、その時に作られた。
真っ暗闇から女性の顔が浮かび上がる。手には世界地図が描かれている。「女の手で世界をつかもう」と、叫んでいるかのようだ。
次の開催はウガンダ。2002年のことだった。世界最貧国と呼ばれる国で準備に奔走したのは、首都カンパラに事務所を持つ国際女性運動組織「イシス」。イシスはギリシャ神話に登場する女神。強大な力で父親から支配権を奪い取った、あのイシスだ。
ウガンダ大会で最も衝撃的だったのは「戦争と女性のドキュメント」だった。内戦を生き延びた女性たちからの聞き取り調査を10年以上も続け、イシスがまとめあげた。
女性たちの多くは、強奪や拷問のほかに、強姦、性暴力、性奴隷、強制結婚など女性ゆえの被害にあっていた。PTSDに苦しみ、性病、婦人病、全身の激痛、頭痛、性器や腹部や胸部の痛み、動悸、食欲喪失、潰瘍、精神病といった病魔に冒されていた。
こうした女性に関する重大な事実がデ―タベースに蓄積され、ネットで公開された。
おかげで、今、日本にいる私も読むことができるのだ。
2014年11月10日
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