第2回 ヨーロッパをもっと美しく(デンマーク)
デンマークの女性の政治参加は、20世紀初頭から世界のトップレベルだ。いま、国会議員に女性が占める議席は40%近い。デンマークから出ている欧州議会議員は、女性が45%を超えた。
このポスターは、1994年デンマークを訪れたときに入手した。ヨーロッパは5年に1度の欧州議会選挙を控えていた。欧州議会は、欧州連合(EU)の諮問・監査機関。議員は加盟国別に選挙で選ばれる。
私は、デンマーク男女平等委員会委員長に会うため、コペンハーゲンの同委員会を訪問した。その部屋の正面にドーンとはってあったのが、この「ヨーロッパをもっと美しく」だ。
ポスターの上には、生真面目な顔をした背広姿の男性が、まるで兵隊のように整然と立っている。下には、個性あふれるスタイルで、普段着の男女がにこやかに肩を組んでいる。その真ん中に、デンマーク語で「ヨーロッパをもっと美しく」と書かれている。
言葉だけだと、環境保護キャンペーンのポスターかと思ってしまう。ところが、これは欧州議会に女性議員を増やすためのキャンペーンなのだという。ホルムズゴー委員長(女性)は、次のように説明した。
「この『美しく』にあたるデンマーク語には、『平等』という意味もあります。ですから、このキャッチコピーは、『ヨーロッパをもっと平等に』という意味でもあるのです。欧州議会に多くの女性を代表に送り込みたい。私たちが作ったのですが、気に入ってます」。
「美しく」が「平等に」と同じ言葉だなんて、素敵!
男女平等委員会は、デンマークの総理府が設置した男女平等行政の総本山的執行機関だ。ホルムズゴー委員長の本職は、国鉄職員の職業訓練部長。EUの男女平等機会局の『アドヴァイザリー委員会』委員として、EU全体にも目配りしている。
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